【こんな課題ありませんか?】 人材不足、高度化する攻撃...セキュリティ運用において企業が抱える問題
セキュリティ運用において企業が抱える問題を解説します。
皆さん、こんにちは!
前回の記事では、セキュリティ対策の基本であるEPP、UTM、EDRについてご紹介しました。
これらのツールを導入することは、企業のセキュリティレベルを向上させる上で非常に重要です。
しかし、セキュリティ対策は「ツールを入れたら終わり」ではありません。
むしろそこからが本当の「セキュリティ運用」の始まりです。
そして、この「セキュリティ運用」こそが、多くの企業にとって頭を悩ませる大きな課題となっています。
今回は、企業がセキュリティ運用において直面する主な問題と、その背景にある現状について解説します。
【本記事で得られる情報】
- 企業におけるセキュリティ人材不足の深刻さと、それが引き起こす具体的な問題
- サイバー攻撃の高度化・巧妙化の現状と、その具体的な手法(標的型攻撃、ランサムウェア、サプライチェーン攻撃など)
- セキュリティ対策の複雑化と、継続的な運用が困難になる要因
目次
1. 深刻な「セキュリティ人材」の不足とその影響
企業がセキュリティ運用で直面する最も大きな課題の一つが、セキュリティ人材の不足です。これは世界的な傾向であり、日本でも大きな課題となっています。
〇なぜ、セキュリティ人材が不足するのか?
- 専門性の高さと変化の速さ: サイバーセキュリティは、ネットワーク、OS、アプリケーション、クラウド、暗号技術などの多岐にわたる専門知識を必要とします。さらに、攻撃手法や防御技術は日々進化するため、常に新しい知識を学び続ける必要があります。
- 育成の難しさ: セキュリティの専門家を育成するには、実践的な経験と継続的な学習が不可欠です。社内で育成しようとしても、適切な教育プログラムや指導者が不足している場合があります。
- 需要と供給のアンバランス: サイバー攻撃の増加とともに、セキュリティ対策の必要性が高まり、企業からの需要は急増しています。しかし、その需要に見合うだけの専門家が供給されていないのが現状です。
〇人材不足が引き起こす問題
セキュリティ人材の不足は、企業のセキュリティ運用に以下のような具体的な問題を引き起こします。
- 監視体制の不備: 24時間365日の監視体制を構築するのが困難になり、攻撃の検知が遅れるリスクが高まります。
- インシデント対応の遅延: 攻撃を受けた際の原因究明や復旧作業に時間がかかり、被害が拡大する可能性があります。
- 最新の脅威への対応が遅れる: 新しい攻撃手法や脆弱性情報をキャッチアップできず、適切な対策を講じることができない場合があります。
- 業務の属人化と疲弊: 限られた担当者に業務が集中し過度な負担がかかることで、離職につながるケースもあります。
2. 高度化・巧妙化するサイバー攻撃の現状
もう一つの大きな課題は、サイバー攻撃の高度化・巧妙化です。
現代のサイバー攻撃は、もはや単なるウイルス感染にとどまりません。
〇現在のサイバー攻撃の特徴
- 標的型攻撃の常態化: 特定の企業や組織を狙い、長期間にわたって情報収集を行ったうえで巧妙な手口で侵入を試みる攻撃です。一度侵入すると長期間にわたり内部に潜伏し、機密情報を窃取したりシステムを破壊したりします。
- ランサムウェアの進化: 企業のデータやシステムを暗号化し身代金を要求するランサムウェアは、事業継続に壊滅的な影響を与える可能性があります。最近では、データを暗号化するだけでなく、窃取した情報を公開すると脅迫する「二重恐喝」の手法も増加しています。
- サプライチェーン攻撃の増加: 取引先や関連会社のセキュリティの脆弱性を悪用して侵入を試みる攻撃です。自社だけでは防御が難しいという側面があります。
- ゼロデイ攻撃や未知のマルウェア: ソフトウェアの未知の脆弱性を悪用する「ゼロデイ攻撃」や、既存のセキュリティ製品では検知が難しい「未知のマルウェア」も日々発生しており、これらの対応は非常に困難です。
- AI(人工知能)の悪用: 攻撃者側もAI技術を活用し、より効率的かつ巧妙な攻撃手法を開発しています。例えば、標的の行動パターンを学習して偽装メールを作成したり、防御システムの弱点を自動で探し出したりするケースが考えられます。
これらの攻撃は従来の方法だけでは防ぎきれないことが多く、振る舞い検知やAIを活用した高度な分析、そして人間の専門家による判断が不可欠となっています。
3. セキュリティ対策の「複雑化」と「継続性」の課題
セキュリティ対策は、単一のツールや手法で完結するものではなく、多岐にわたる要素を統合的に管理・運用する必要があります。
〇対策が「複雑化」する要因
- 多層防御の必要性: 複数のセキュリティレイヤー(ネットワーク、エンドポイント、アプリケーション、データなど)で防御を行う「多層防御」が不可欠であり、それぞれの層に適切な製品や設定が求められます。
- 多様なIT環境への対応: オンプレミス(自社運用)だけでなくクラウドサービスの利用、リモートワークの普及など、環境の多様化に合わせたセキュリティ対策が必要になります。
- アラートの多さ: 多くのセキュリティ製品は、日々大量のアラート(警告)を生成します。この膨大なアラートの中から本当に危険なものを見極め、優先順位をつけて対応するには、高度な知識と経験、そして時間がかかります。
- 法規制・ガイドラインへの対応: 各国や業界の個人情報保護法、サイバーセキュリティ関連法、特定の業界ガイドラインなど、遵守すべき法規制や基準が多数存在し、これらに継続的に対応していく必要があります。
〇「継続性」の課題
セキュリティ対策は一度行えば終わりではなく、継続的な運用と改善が求められます。
- 定期的な脆弱性診断とパッチ適用: システムやソフトウェアの脆弱性は常に発見されるため、定期的な診断とそれに対するパッチ(修正プログラム)の適用が欠かせません。
- 従業員へのセキュリティ教育: フィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングなど、人の心理を突く攻撃が増えています。そのため、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高める教育を継続的に行う必要があります。
- インシデント対応計画の策定と訓練: 万が一攻撃を受けた場合に備え、インシデント発生時の対応手順を明確にし、定期的に訓練を行うことで迅速かつ適切な対応が可能になります。
4. まとめ
本記事では、多くの企業がセキュリティ運用において直面する「人材不足」「高度化するサイバー攻撃」「対策の複雑化と継続性」という3つの大きな課題について解説しました。
これらの課題は、サイバー攻撃が企業に与える影響が甚大であるにもかかわらず、その対策が簡単ではないことを表しています。
セキュリティ対策はIT部門だけの問題ではなく、経営戦略の一部として位置づけ、組織全体で取り組むべき課題と言えるでしょう。
IT部門が技術的な対策を講じるだけでなく、経営層が情報セキュリティに対する意識を高く持ち、組織文化を醸成していくことが重要です。
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この記事が、サイバーセキュリティ対策に取り組む皆様の一助となれば幸いです。